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大敗の中に見た一筋の光り、広島・森﨑浩司の復活弾[COLUMN]

2016.09.08

unnamed|広島はG大阪に大敗も、森﨑浩司が意地の直接FK弾

9月4日に行われたルヴァンカップ準々決勝第2戦で、サンフレッチェ広島は3−6でガンバ大阪に敗れ、2試合合計4−7で敗退した。ホームで行った第1戦を1−1で終え、さらに第2戦でも先制点を許したため、得点を奪いに行かなければならない状況での大量失点だったことは否めない。それでも堅守をベースに、昨シーズンのJ1王者に輝いた実績を考えれば、1試合6失点という結果は、“らしくない”戦いぶりだった。
ただ、その敗戦の中で、復活の狼煙を挙げた選手がいた。背番号7を付けるMF森﨑浩司である。

1−2で迎えた後半7分、広島はFWピーター・ウタカが倒されてFKを獲得する。キッカーの森﨑浩が得意の左足で狙うと、ボールは大きく曲がり、直接ゴールに吸い込まれた。本人がそのときの状況を振り返る。

「ファールを受けたウタ(ウタカ)が近づいてきて『浩司、蹴りたい?』って聞いてくれたんですよね。それで『蹴りたい』って答えたら、『分かった』って言ってくれて。本当はウタも蹴りたかったのかもしれないけど、蹴らしてくれたことが結果的に良かったですよね。ちょっと(ゴールまでの)距離は遠かったので、強めに蹴ろうと思ってました。(FKを)蹴る前は、外から巻いてやろうって思っていた。それで外したら仕方がないなって。まあ、あんなにうまくいくとは思わなかったですけどね」

昨シーズンもケガに苦しみ、今シーズンも二度の肉離れに見舞われた森﨑浩にとっては、もがき続ける中でようやく巡ってきた先発出場のチャンスだった。得点に至っては、昨シーズンの1stステージ第2節(対松本山雅FC戦)以来(ちなみに松本戦の得点も直接FK)。それだけにゴールした瞬間は、さまざまな思いが駆け巡った。

「もう(頭の中は)真っ白でしたよね。(ユニフォームの)エンブレムはつかもうと思ったんですけど、時間的に短かったですよね(笑)。なんか自然と、ベンチに向かって走りたくなって、そのことしか考えてなかったから、あとのことは覚えてないですね。試合後に映像を見たら、ヒサ(佐藤寿人)が一番に喜んでくれて、抱きついてくれていた。(同い年の)ヒサが喜んでくれたのはうれしかったですし、みんなも喜んでくれていた。自分としてもいろいろと感じるところはありましたよね」

ただ、得点から3分後にDF丹羽大輝にゴールを許すと、後半15分には自らのパスミスをFWアデミウソンに奪われて、さらにリードを広げられてしまった。

「試合に勝っていれば、(自分の得点も)もっと喜べたでしょうけど、前半の2失点目も時間帯が悪かったですし、2−2になってからの3失点目も痛かった。ああいうところはガンバの強さかなって感じましたし、試合を難しくしてしまった。得点や失点の場面だけがクローズアップされますが、得点も失点もチームみんなの結果であり責任なので、直接絡んでいなかった失点にしても、直接絡んでしまった失点にしても、もっとこうしておけば良かったなって、僕自身も思うところはありましたから、(敗戦は)悔しいですね」

|森保監督も認めた森﨑浩司の継続する姿

森﨑浩が、2度に及ぶ筋肉系のケガから復帰したのは7月に入ってからだった。全体練習に合流しても、試合に出られないこともあってなかなかコンディションは上がらず、森保一監督からはこう告げられたこともあった。

「今のチーム状況を見たとき、(浩司の)コンディションが上がってきたとしても、なかなか試合で起用するのは難しいかもしれない」

指揮官の言葉は厳しく聞こえるかもしれないが、それは言われた本人も理解できるところでもあった。

「自分でもそれは感じていたことでもあったんですよね。自分自身はケガ明けということもあったし、試合に出ている選手のほうがコンディションが上がっているのも、チームとして流れがあるのも分かる。その中で自分が試合に出るには、それこそ練習で毎日、スーパーなプレーを出し続けなければ、メンバーに入ることは難しいかなって思っていた。その一方で、試合に出られない状況では、なかなかコンディションを上げていくのは難しい。その中で自分なりに、いろいろと考えた結果、原点に返ろうと思ったんですよね」

35歳のMFが試行錯誤する中で、辿り着いたのは守備だった。復帰して間もなくしたころに話したとき、彼はこう言っていた。

「守備をがんばろうと思ったんですよね。攻撃的な選手の自分が守備をがんばるって、『えっ?』って感じでしょ?(笑) でもね、守備ってリアクションの動きが多くなるから、正直、きついじゃないですか。自分が個人的に課題としているのは運動量。だから、リアクションの動きとなる守備のところでパワーを使うことによって、今までの経験上、コンディションも上がりやすい。相手についていくのはきついですけど、そこをサボらず、がんばることで、運動量も上がれば、コンディションも上がっていく。それにコンディションさえ上がってくれば、自分の持っているストロングポイントって自然と出せるという自信はありますからね」

だから森﨑浩は、日頃のトレーニングでも、練習試合でも、守備を強く意識した。実際、筆者が見た湘南ベルマーレとのサテライトリーグでは、猛暑の中、ほぼ90分近くプレーし、前線から相手を激しく追い込もうとする彼の姿があった。

「どちらかと言えば、(MFなので)ボールタッチの感覚を大切にしてきましたけど、でも走れるかどうかって、やっぱり大事じゃないですか。メンタルの話になってしまいますけど、みんなも苦しいからこそ、そこで歯を食いしばって、あと一歩が出せるかどうか。そこに年齢は関係ない。試合に出ている選手はやっぱり走れている」

「それにね」と言って森﨑浩は笑うと、言葉を続けた。

「特に、くそ暑い夏場に、守備で体力を使うより、攻撃に余力を残しておきたいと、誰しもが考えると思うんですけど、35歳の僕が守備をがんばっていたら、周りの若手もやらなきゃいけないってなるじゃないですか?」

腐ることは簡単だと森﨑浩は話す。

「腐ってやっていても良いことはひとつもないですし、そういう思いで、やっていても、コンディションは上がるわけがない。自分自身もここまで、いろいろな思いを抱きながらやってきましたけど、最終的に思うのは、どんな状況になっても、継続していくことこそが大事だなって改めて感じましたよね」

そのひたむきさであり姿勢、そして、もちろんコンディションの向上を森保監督も認めたのであろう。だからこそ、ルヴァンカップ準々決勝第2戦で先発に抜擢したのだ。

「森保さんも継続して取り組んでいる姿を感じてくれたから、今回、試合に起用するチャンスをくれたんだと思います。きっとやっていなければ、ここで僕を使おうとは考えなかったと思うんですよね」

自分自身もケガにより出場機会を失っていたように、今回、彼が先発のチャンスを得たのは、他チームメイトの負傷によるものだったことも事実だ。

「試合に出ることでチームを助けることになるとは思います。ただ、試合に出なくてもできることはある。いろいろな形でチームを助けることは可能なので、あまりあれこれ考えすぎずに、そのときどきで自分にできることをしたい。それで、試合に出るチャンスを与えてもらえれば、今までやってきたことを精一杯、出せればいいなって思います」

答えはシンプルだ。日々、継続し続けることによって出場機会を得たように、これからも森﨑浩は、できることを続けていく。ただ、ひとつ言えるのは、シーズン終盤に向けて、サンフレッチェ広島にとって頼もしい背番号7が戻ってきた。これまで積みかねてきた技術はそう簡単に色褪せることはない。ルヴァンカップ準々決勝第2戦で見せた彼のFKは、継続の賜物である。

文:原田大輔
写真:NAKANO KAYO

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