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したたかさか勢いか、序盤戦から見るJ1の優勝争い[COLUMN]

2017.03.13

|迎え撃つ難しさに直面するも勝ち点を得ている鹿島

1−0で辛勝したJ1第3節の横浜F・マリノス戦後、鹿島アントラーズ不動の左SBである山本脩斗は、厳しい表情をしながらこう言い放った。
「昨季より、どの相手もうちを研究してきている印象がある」
チームの象徴であるMF小笠原満男も同様のコメントを残している。昨季、7年ぶりのJ1優勝を達成した鹿島は、久々に相手を迎え撃つ難しさに直面している。黒星を喫したFC東京との開幕戦でも、続く第2節のヴァンフォーレ甲府戦でも、特に守備を強く意識してくる相手の戦い方に苦しんだ。それでも、甲府戦、横浜FM戦と連勝している結果を見れば、さすがである。

ACLをも視野に入れる鹿島は、レオ・シルバやペドロ・ジュニオールといったブラジル人選手を獲得した他、GKにクオン・スンテ、さらにはDFに三竿雄斗、FWに金森健志らを獲得するなどの補強を行った。ボランチでは新加入のレオ・シルバを軸に、小笠原と永木亮太をターンオーバーで起用しており、ペドロ・ジュニオールも含め主力数名が入れ替わっている。よく選手たちから、11人のうち2〜3人メンバーが変われば、試みるサッカーも変わってくるという言葉を聞くが、まさに今の鹿島はその状況にある。昨季はFWでプレーしていた土居聖真も今季は左サイドを主戦場としており、細かい連係はもちろん、チームとしての強みを再構築している。

その状況でありながら、かつ対戦相手が警戒を強めている中で、結果を残しているところは、やはりさすがと言わざるを得ない。

|チームを構築していく中でしぶとさが見える川崎

また、鹿島と同じくACLを戦っている川崎フロンターレにも、今季は近い印象を受けている。約5年間を率いた風間八宏監督(現・名古屋グランパス監督)から鬼木達監督へとバトンタッチした川崎は、継続を打ち出しているものの、指揮官が変わっただけでなく、メンバーも入れ替わった。大久保嘉人がFC東京に移籍し、新たに家長昭博や阿部浩之、さらにはハイネルといった面子が加わり、守備意識も含めてチームを再整備している。そのため公式戦の初戦となったACLの水原三星戦では、昨季までのパスワークが見られず、選手たちも課題を口にしていたが、それでもリーグ戦では手堅く勝利を重ねているのだから、積み上げどころか、しぶとさや手堅さすら身についているように感じるのだ。

これまでの川崎は、メンバーが入れ替わったり、大事な試合だったりを落としてきた印象がある。ところが、周囲が不安を危惧する中で迎えた大宮アルディージャとの開幕戦では勝利するなど、悪いながらも勝ち点を積み重ねていく “強さ”を感じているのは筆者だけだろうか。

実際、チームの大黒柱である中村憲剛も「試合をやりながらではなければ、擦り合わせられないところもある」と語っているように、ACLも含めた公式戦が続くこともプラスに作用している。試合を重ねるたびに、課題は徐々に修正されてきているのだ。

|盤石戦いを見せる浦和と進化しようとするG大阪

鹿島や川崎がベースを残しつつ生まれ変わろうとしている中で、盤石な戦いを見せているのが浦和である。第2節の横浜FM戦こそ、ペトロヴィッチ監督が「齋藤学にやられた」と相手選手を賞賛したが、チームとしての完成度は抜きんでており、柏木陽介を欠く状況で結果を出しているという点においても、チームとしての進化や成長が感じられる。

何よりラファエル・シルバの加入は大きく、それにより興梠慎三を2列目で起用するというバリエーションが増えたことで得点力もアップしている。武藤雄樹も好調で、李忠成やズラタンが控えていることからも、攻撃陣の層の厚さは、鹿島や川崎も正直、及ばない。

また、ACLでは大敗したG大阪だが、新たに挑戦している3バックが、柏レイソル戦ではまったように、チームとしてのスケールアップを図ろうとしているのは不気味だ。長身の長澤駿と技術のあるアデミウソンとのコンビも確立されており、何より今野泰幸が利いている。昨季までの戦い方でも、ある程度、結果を残せるチームが、新たなる扉を開こうと挑戦をする姿勢は、既存選手たちのマンネリ化を打破するとともに、相手にとっても脅威となるはずだ。

|勢いでしたたかさを凌駕しようとする神戸やFC東京

ただ、昨季も優勝争いしたチームだけが再び上位に立つ状況では今季のJ1は面白くない。彼らを喰う勢いを見せているのが3連勝中のヴィッセル神戸である。昨季得点王のレアンドロが長期離脱したことは誤算だろうが、それでも勝ち続けているあたりは、さすがネルシーニョ監督である。CBの渡部博文とボランチの高橋秀人の加入により、試合の流れを読めるようになった神戸は、大森晃太郎や渡邉千真が得点を挙げるなど、総合力の高さも見せつけている。元ドイツ代表FWポドルスキが合流する6月まで粘り強く戦えていれば、話題の中心で居続けられるかもしれない。

それは大久保嘉人、髙萩洋次郎に加えて、ピーター・ウタカまで獲得したFC東京も同様で、上位争いに食らいついていくことができれば、チームは不協和音が出ることなく円滑に進んでいくことだろう。

鹿島、浦和、川崎、さらにG大阪がしたたかな強さを見せる一方で、神戸やFC東京には勢いという強さがあるように映る。齋藤学を欠いた鹿島戦で今季初黒星を喫したが、若手たちが躍動する横浜FMも同様である。したたかさか勢いか——過去の歴史を振り返れば、したたかさが勢いを凌駕してきたように見えるが、それを上回る流れを作ることができるか。今季のJ1は、その2つの構図が楽しめそうな予感がする。

文・原田大輔
写真・佐野美樹

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