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【森﨑浩司 -サンフレッチェ広島-】前編「森保さんが待っていてくれるからグラウンドに足が向いた」

2014.07.11

int_koji_1-1 サンフレッチェ広島の背番号7が輝きを取り戻しつつある。
 森﨑浩司は、2005年、2008年と度々、コンディション不良により、練習にも参加できない状況に陥り、苦しんできた。それでも彼は必ずピッチに戻ってきた。
 サンフレッチェ広島が初めてJ1初優勝を飾り、連覇に向けて始動した2013年シーズン序盤、彼はケガをきっかけに再びコンディションを崩すと、長らく戦列を離れることになる。
 しかし、彼はようやく長いトンネルから抜け出すと、2014年4月16日、アウェイで行われたAFCチャンピオンズリーグの北京国安戦で、約7カ月ぶりとなる公式戦のピッチに立った。そして4月26日のJ1第9節、鹿島アントラーズ戦にも途中出場を果たし、中断前のリーグ戦5試合に出場。度重なるコンディション不良を乗り越えるたびに、背番号7は一回り成長する。W杯による中断期間を経て、いよいよ再開されるJ1においても、彼はその左足を武器にゴールで、アシストで貢献することだろう。背番号7こそが、J1で3連覇を目指すサンフレッチェ広島のラストピースとなる。

|本音を言えば、正直、僕はもう無理だと思っていた

——JリーグにはJ1第9節の鹿島アントラーズ戦で久しぶりにピッチに立ちました。2013年のJ1第26節以来となる出場でしたね。改めて振り返ると、サンフレッチェ広島がJ1初優勝を達成した2012年はコンディションもよく、2013年シーズンもキャンプのときから調子はよさそうでしたよね?

「まさにあのときは、疲れを感じない状態というか……調子がいいこと事態は決して悪いことではないんですけど、その調子のいい状態を自分の中で過信しすぎていた。以前もコンディションを崩して1年近く試合に出られない時期がありましたが、あんなに苦しい経験をすることは、もうないだろうという思いが自分の中にあったんです。それがまさに過信だったんですよね」

——それでも2013年シーズンは開幕戦に出場して、その試合ではゴールも記録。第3節まではフル出場していました。ケガもあって第4節の清水エスパルス戦から戦線を離脱することになったんですよね?

「太ももの裏を痛めたんです。それがコンディションを崩すきっかけにもなりました。試合に出られないことで変にストレスを溜めてしまったんですよね。それに、自分が出られなかったその清水戦で、チームの攻撃がはまって4-0と快勝したんです。今の自分だったならば、そんなこと気にしなくてもいいと思えたんだろうけど、あのときの自分は、それをものすごく気にしてしまった。自分が出ていないほうがチームは機能するんじゃないかって……それがきっかけになって、冷静さを失い、焦りも出てきて……まさに自滅ですよね」

——そこからコンディションを崩していくことになってしまった?

「太もものケガは軽傷だったんです。ケガによるコンディションというよりも、それをきっかけに、メンタルのコンディションがどんどん落ちていってしまったんですよね。確かあれはサガン鳥栖戦(2013年J1第6節)を週末に控えた練習でのことだったと思います。久しぶりに練習に復帰できたんです。休んでいたのでフィジカルコンディションも多少は落ちてはいたけど、それ以上にメンタル面が準備不足で、そのせいもあって今度は膝を負傷してしまったんです。結果、全治6週間と診断され、そのショックは大きかった。過去を振り返っても仕方がないのに、キャンプのときは調子がよかったのになとか、自分を悪い方へ悪い方へと追い込んでいってしまったんです。ケガだけであれば、プロのサッカー選手である以上、それなりにみんな経験している。自分もそうなのにあのときはメンタルの方にも結びつけてしまって、睡眠がうまくとれなくなったりと、どんどんコンディションを崩してしまったんです」

——2008年から2009年にかけては完全に練習にも参加できない状況までコンディションを崩してしまいましたが、今回はランニングを続けるなど、悪いなりにも踏みとどまろうとしていたように聞きました。

「メンタル的にコンディションが悪いというのは自分でも分かるんです。身体もどんどんしんどくなっていくから、今回は、もうちょっと無理だろうなって思っていた。正直、本音を言えば、諦めていた部分もありました。30歳を過ぎて、年齢的なこともありますよね。ただ一度、完全に休んでしまうと、そこから元に戻すのは本当にしんどい。妻にも、『休んだらそこで終わっちゃうよ』って言われていた。だから、自分の意志というよりも、周りの人に支えられて、なんとか練習だけでも、ランニングするだけでもって、行動させてもらっていたように思いますね」

——周囲はなんとか持ち直すためにサポートしてくれているけれど、自分の心境としては違っていた?

「周りには申し訳なかったんですけれど、正直、僕はもう無理だと思っていたんですよね。もうこれ以上、何を頑張ればいいんだって……思ってました。でも、それでもなお周りの人たちが僕を支えよう、支えようと、一番苦しいときに力になってくれたんです」

int_koji_1-3|森保監督が待っていてくれるから、グラウンドに足が向いた

——家族、双子の兄弟でありチームメイトでもある森﨑和幸選手、そして森保一監督もその苦しい時期を支えてくれたそうですね。

「そうですね。まだ体調が思わしくなく、チームメイトと一緒に練習することができなかった時期に、みんなが来る前の早朝、練習場へ行って走ろうと思ったんです。それで森保さんに『朝なんですけど、一緒に走ってもらえませんか?』って話したんですよね。常に森保さんからは『何かあれば、いつでも言ってきてくれていいよ』と言われていたので、思い切ってお願いしたんです。そうしたら、森保さんは『いくらでも付き合うよ』って言ってくれて。そのときは、復帰に向けてとか、試合に出るとか、練習に参加するとかではなかったですね。1人で走るより森保さんと一緒に走ることで、自分にとってプラスになるんじゃないかって思ったんです。あの状況で、身体を動かすには、たぶん自分一人の力では絶対に無理だった。森保さんが吉田のグラウンドで、待っていてくれるから、一緒に走ってくれるから、僕の足は毎朝、練習場に向いたんです。森保さんが待っていてくれるから、身体がしんどくても毎日、朝早く起きることができたんですよね」

——チームの練習がだいたい10時から始まるとすると、どのくらいの時間帯に走っていたんですか?

「一番、練習場に来るのが早いのはだいたいカズ(森﨑和幸)で、それが8時半くらいなんですね。だから、たぶん走っていたのは7時台くらいですね。7時半くらいから30分くらい走って、シャワーを浴びてから帰っていました。だから、その時期は他の選手には、ほとんど会わなかったんです」

——走る時間に練習場に行くと、森保監督が待ってくれている。

「そうです。朝、練習場に来るのがきつければ、車で乗っけてってやるとも言われました。本当に森保さんには支えてもらいました。だから……僕ももがいたんだと思います。森保さんだから、森保さんが監督だから、復帰するのは難しいと思いながらももがいたんです。本当に今、僕がまたピッチに立っているのは、監督の支えがあったからだと思います」

——ランニングをしながら森保監督とはどのような会話をしたのですか?

「いろいろな話をしてくれましたが、サッカーの話はあまりしなかったかもしれません。朝会ったときには『今日はいい表情してるね?』とか、走っているときは『浩司のほうがペースがいいから、オレのほうが遅れちゃいそうだよ』とか『もし早く走れるならどんどん先に行っていいよ』とか。今、考えると、僕をうまく乗せるようにコントロールしてくれていたんですよね。僕の走るスピードを見て、『いつでも復帰できるくらいだな』って、とにかくポジティブになれる言葉をずっと掛け続けてくれました」

——それでも復帰までの道程は簡単ではなかったですよね? 2013年シーズン途中に一度、復帰するも、そこからまたコンディションを崩してしまった。

「J1第25節の川崎フロンターレ戦に先発出場したんですよね。その試合を終えて、やっぱり、まだ自分には無理なんだなという思いがありました。その後、アルビレックス新潟戦にも途中出場しましたけど、結局、森保さんと話をして、『浩司はどうしたいの?』と聞かれたので、そこで『すみません。休みたいです』ってはっきりと告げたんです。妻にも相談しましたが、そのときは僕の意志が固いのを理解したようで了承してくれました。自分の中では、“引退”の二文字もちらついていた。同じ症状になるカズには、どん底に落ちる前から『今の状態が普通だと思え』って言われていたのに、それを僕は受け入れられなかったんです」

(後編に続く)

int_koji_2-3<プロフィール>
森﨑浩司●もりさき・こうじ
1981年5月9日生まれ、広島県出身。サンフレッチェ広島所属。MF。背番号7。177cm/76kg。サンフレッチェ広島ユースを経て2000年にトップチームへ昇格。今シーズンでプロ15年目を迎えるが、双子の兄弟である森﨑和幸とともにサンフレッチェ広島一筋でプレー。攻撃的なポジションを担うレフティーで高いテクニックを誇る。その左足から繰り出されるフリーキックも武器の一つ。

<Information>
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