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【森﨑浩司 -サンフレッチェ広島-】後編「3連覇できるだけのチーム力はある」

2014.07.14

int_koji_2-1 2013年シーズン、森﨑浩司はコンディションを崩し、苦しんでいた。シーズン途中に一度、復帰するも復調せず、チームの練習を休む事態にまで陥った。それでも双子の兄弟であり、チームメイトであり、似たような症状を経験したことのある兄・森﨑和幸をはじめ、周囲の人に助けられ、支えられながら、彼は練習に復帰できるまでになった。
 結果的に2013年シーズンは、9月26日のアルビレックス新潟戦を最後に公式戦のピッチに立つことは叶わなかった。その後も彼は長い暗闇を、トンネルを抜け出そうと、もがきつづけていた。その間、チームはJ1連覇を達成する。
 3連覇に向けて2014年シーズンがスタート。その中で森﨑浩司はキャンプにはなんとか参加するも、ケガもあり別メニューでのトレーニングが続くなど、復調するきっかけをつかめずにいた。一歩前進しては、また後退する日々——しかし、彼は双子の兄・森﨑和幸のアドバイスを実践することで、復調の兆しをつかんでいった。

|ピッチに立ったときは、ただ、ただ、幸せだった

——似たような症状に陥ったことのある双子の兄弟、森﨑和幸選手から「悪いときを普通だと思え」とアドバイスされても、それを受け入れられなかったのは、やはり調子がいいときの自分を知っているからですか?

「カズ(森﨑和幸)から何度、『今の状態が普通だと思え』と言われてもずっと否定し続けていたんですよね。でも、カズには言えなかったんですけど、今年に入ってから何回か、そう思うことにトライしてみたんです。開き直ってプレーしてみようって。今の状態ではどんなにがんばっても満足するプレーはできないだろう。でも、それでいいじゃないか。休んでいたんだから、できなくて当たり前だって、自分に言い聞かせたんです。その開き直りがいい方向に進んだんですよね。今日は少しだけいつもよりできたなとか、自分で自分を客観的に評価できるようになったんです。今までだったら、カズに評価を聞いたり、周囲に評価を聞いて、そこで初めて自分を認めることができていたんですけど、この時期から自分で自分を判断できるようになった。あまり眠れなかったのに、今日はいつもより身体が動いたなとか。それで、もしかしたら、これがカズの言っていた『今の状態が普通だと思え』ということかって思ったんです。それが2日続き、3日続くと、その後も変わらなかったんです」

——それはいつぐらいのことですか?

「復帰までの道程に関しての記憶はすごく曖昧なんですけど、このことは、よく覚えるんですよね。あれは、ちょうど徳島ヴォルティスとの試合があった3月29日でした。まだメンバーには入っていなかったんですけど、ホームゲームなのでスタジアムには行くじゃないですか。メンバー外の選手たちだけでやる練習でも、今まで見えていなかったところが見えるようになったり、自分の中でプレーの感覚が戻ってきたって言えばいいんですかね。どこか今までとは違う手応えがあった。だから、試合前というのは分かっていたんですけど、カズに言いにいったんですよね。アイツがアップから引き上げてきたときに『オレ、抜けたかもしれん』って。アイツは『試合前にそんなこと言うなよ』一蹴されましたけど(笑)、僕の中では嬉しかったんです。監督の森保(一)さんにも同じことを報告しました。決して舞い上がっていたり、前みたいに体調がよくなったことで調子に乗ったわけではないんです。2人には支えてもらっていたので、冷静に報告したかったんですよね」

——その後は練習しても、それまでとはどこか感覚的にも変わった?

「プレーしてても違いましたね。練習に入る時点から。ずっと練習するのを躊躇ってしまうところがあったんですが、そのときからは考え方も変わっていった。ただ、だからといって、すぐに試合に出たいとはならなかったですね。今度ばかりは、ゆっくりというか一歩、一歩、確実にというのを忘れちゃいけないって自分にも言い聞かせていました。そのほうが、客観的にも自分のことを知ることができるし、うまく付き合う方法を見つけられるんじゃないかなって。実戦からは7~8カ月間くらい遠ざかっていましたし、チームもその間、総合力が上がっていることは感じていたので、試合に出るまでにはそれなりに時間がかかることも分かっていた。だから、焦りもなかったのがよかったのかもしれません。少しずつサッカーを楽しめるようになったって言えばいいんですかね」

——とはいえ、そこから復帰までは早かったですよね。公式戦への出場は4月16日、AFCチャンピオンズリーグのグループリーグ第5戦、しかもアウェイの北京国安戦でした。

「森保さんから『北京に連れて行こうと思っているんだけど、どう?』って聞かれて、迷わず『行きます』って答えました。そこははっきり、自分の意志で言えましたね。アウェイということもあり、カズが行かないだろうってことも分かっていた。カズがいたほうが心強いというのはありますけど、自分にとってはカズがいない状況で遠征に行ったほうがプラスになるとも思い、それも考えた上で、『行きます』って答えたんです」

——実際、北京国安戦でピッチに立ったときはどういう思いでしたか?

「特別、何もなかったですね。ただ、ただ、幸せでした。監督からもアウェイだから、逆に日本で復帰するよりもプレッシャーや緊張がなくていいんじゃないかって言われていたんです。実際、その通りで、緊張は全くなかった。あー、オレ、ピッチに立ってるんだなって(笑)」

——そこからJリーグでもメンバー入りし、コンスタントに試合に出場するようになりました。

「本当に、すごくシンプルなんです。この場所にいられることが幸せだなって。健康でサッカーができている。それだけで十分ですよね」

int_koji_2-2|サンフレッチェ広島は簡単には負けないチームになった

——復帰して周りも見えるようになってきた今、森﨑浩司の目に映っているサンフレッチェ広島とは?

「チーム全体がメンタル的に強固になっていますよね。しぶといし、粘り強いし、みんな自信を持って戦っている。チームメイト一人ひとりから、ものすごくエネルギーを感じるんです。それでいて、したたかさがある。簡単には負けないチームになった」

——自分も同じピッチに立つと、自然と周りに引っ張られるような感覚もあるのでは?

「それはありますね。みんながチームのためにという思いでプレーしているのがすごくよく分かる。それは森保さんが監督になってからずっと言い続けている部分だし、お互いに助け合いながらチームは一つになり、常に戦っているということは感じますよね。そんなチームの一員として、自分もプレーできていることを、すごく誇りに思います」

——今シーズンの話をすると、チームとしてはJ1で3連覇という偉業が懸かっている。その状況をどう捉えていますか?

「シーズンで言えば約3分の1が終わったくらいなので、まだ何とも言えない。ただ、3連覇できるだけのチーム力はあると思う。クラブとして、チームとして、そこを目指している以上、自分もしっかりと加わり、力になりたいという思いはある。そのための準備をして、結果を残せるように努力していきたいですね。それ以前に、自分としては、結果に左右されることなく、まずは自分のできることをしっかりとやる。まさに『Simple is best』。この言葉が今の自分にはピッタリはまると思うんです。森保さんはいつも『自然体』ということを言うのですが、まさにそれと同じです。実は、コンディションを崩しているときに森保さんから言われ、印象に残っている言葉があるんです。それは『どんなときも自分のことを好きでいよう』という一言。苦しんでいるときの自分のことはすごく嫌いでしたけど、森保さんにこの一言を言われ、変わるきっかけになった。しんどいときも苦しいときも、自分のことを好きでいようって」

——W杯も終われば、J1は再開します。7月、8月と暑い時期での試合が始まると思いますが、チームとしての課題は?

「とにかくコンディションを整えて、試合に臨むこと。コンディションが揃っていれば、どことやっても簡単に負けるチームではなくなっている。また、今シーズンはなかなか先制点が奪えず、逆に先に失点して追いかける状況を強いられる試合が多いので、そこが課題になってくる。攻撃に関して言えば、決定機をそれほど多く作り出せていないところがある。初優勝した2013年と比べると、昨シーズンは得点数も減っている。だからこそ、今一度、コミュニケーションを取って、どう仕掛けていくのかという意識を統一して、攻撃の形を作っていければと思います」

(前編に戻る)

int_koji_1-2<プロフィール>
森﨑浩司●もりさき・こうじ
1981年5月9日生まれ、広島県出身。サンフレッチェ広島所属。MF。背番号7。177cm/76kg。サンフレッチェ広島ユースを経て2000年にトップチームへ昇格。今シーズンでプロ15年目を迎えるが、双子の兄弟である森﨑和幸とともにサンフレッチェ広島一筋でプレー。攻撃的なポジションを担うレフティーで高いテクニックを誇る。その左足から繰り出されるフリーキックも武器の一つ。

<Information>
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