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【中村航輔 -柏レイソル-】後編「ケガは苦しかった。でも結局は自分自身」

2014.10.08

2 U-19日本代表は10月9日にAFC U-19選手権の初戦を戦う。その舞台で守護神を務めるであろうGK中村航輔は、2年前に行われた同大会にも飛び級的な形でメンバーに選出された。
 しかし、大会直前に負傷したため、出場することは叶わなかった。所属する柏レイソルではU-12から着実に歩みを進め、2013年にトップチームへ昇格。順風満帆に見えるそのキャリアだが、これまで度重なるケガに苦しんできた。
 復帰を目指してリハビリに取り組んで来た彼はどのようにその苦しみを乗り越えたのか。その言葉には、GKという独特なポジションでプレーする選手の覚悟や決意、そして強さを垣間見ることができた。
 決して口数が多いほうではない。だが、彼の口から出る言葉の1つひとつ、そして選ぶ言葉に、自分自身を見失うことのない強い精神力を感じた。
 インタビューが終わると、こちらがお礼を言うべきなのに、彼のほうから筆者に手を差し伸べ、「ありがとうございます」と爽やかに挨拶する。GKというポジションの孤独とも戦う19歳の好青年の成長と未来が楽しみである。

0|誰かが解決してくれるわけじゃない。すべては自分自身

——GKというポジションについての話も聞かせてもらえればと思います。自分自身のストロングポイントはどこだと思っていますか?

「やっぱり決定機を止めるところですかね。それがGKにとって最も求められるところでもあると思っているので、ずっと意識して取り組んでいます。シュートを打たれる前にどう準備しているか。阻止するには、その瞬間ではなく、シュートを打たれる前にどれだけ自分が優位に立っているかだと思います」

——GKにとっては予測であったり、準備こそが最も重要だと?

「そうですね。それが大事だと思っています。常に相手の一歩先を読む。そこは自分の特徴です」

——現代サッカーにおいて、GKはシュートストップだけでなく、最終ラインの一部として、つなぎにも参加することが求められる。足元にも自信があるとか?

「ユースのころから取り組んでいるので、そこも自信はありますね。今、GKの足元の技術がフィーチャーされていますが、おそらく今回の2014年ブラジルワールドカップでドイツ代表のマヌエル・ノイアーが注目されたからですよね。GKとしては、それ以前から足元の技術が大事なことは分かっていたので、ノイアーがクローズアップされたときも、『知っていたよ(笑)』という感じです。シュートストップも足元の技術もすべてつながっていると思うんですよね。どれもGKにとっては大事なこと。ただ、その範囲というのは広がってきている気はします。自分もなるべく、パスをつなぐことができればとは考えていますから。ただ、その大前提としてセーフティーにプレーするということは心掛けています。ユースのときからフィールドプレーヤーに混ざってポゼッションの練習もしてきたので、そこは自信ありますよ」

——理想としているGK像はありますか?

「大事なところで勝てるGKですよね。具体的な名前を出せば、ドイツのオリバー・カーンになるんですかね。実は2002年日韓ワールドカップでカーンのプレーを見てGKを始めたんです。自分ではそこまで覚えてはいないんですけど、僕のGKの原点を聞かれたら、たぶん、そこになるんだと思います(笑)」

——経歴を見ると、柏レイソルU-12からアカデミーで着実にステップアップしてトップチームに昇格。年代別の日本代表にも選ばれている。順風満帆なキャリアに見えますが、これまで挫折した経験はありますか?

「躓いたわけではないですけど、ケガをして長くサッカーができなかったことですかね。最初に大きなケガをしたのは、高校3年生の夏だったんですが、その後、いろいろあって復帰できたのが今年の5月あたり。ユースで臨む高3の夏の全国大会を前に腕を骨折したんです。それが治ったと思ったら、前回のAFC U-19選手権を前に同じ箇所を折った。2回目は1回目よりも長かったし、苦しかったですね」

——1度ならばともかく、同じ箇所を2度も負傷するのは精神的にも堪えますよね。腐りそうになったりはしなかった?

「そうだったかもしれないですね」

——そのとき気持ちを奮い立たせたものは何だった?

「全然、奮い立っていなかったと思いますよ。ただ、ただ、苦しかった。2回目が本当に長かったんですよね。高校3年生の夏から考えたら1年以上ですからね。弱音は吐かなかったとは思いますけど、誰かに相談することもなかった。ただ、ただ、やるべきリハビリを淡々とこなしていた。ケガをしていなければ、大切なことを得られていたかもしれない。でも、何年か後には、あのとき苦しんだことがよかったなって思えればって」

——リハビリに取り組んでいるときに支えられた人や支えられた言葉はありますか?

「結局、誰かが解決してくれるわけじゃない。それはずっと自分自身で思っていることでもあるんです。人に何かを言われて、そうだと思うようなことであれば、それって実は自分自身で答えが出ていると思うんですよね。自分で答えが出せないのであれば、たとえ人に答えをもらったとしても解決にはつながらない。いろいろな人に言葉はかけてもらいましたし、アドバイスはしてもらったとは思います。だけれども、結局は自分自身だとは思っていました」

——GKは孤独なポジションとも言われる。今の言葉から、GKとしてプレーする覚悟みたいなものを感じました。

「そうですかね(笑)。試合中は誰も助けてくれないですからね。もちろんチームメートはいますが、自分のプレーに責任は持たないといけないですからね」

2-2|試合日の習慣は「しゃべらないこと」

——プロになり現状、公式戦への出場機会は得られていない。アカデミー時代は、言い方は悪いかもしれないけど、試合に出るのが当たり前の状況だった。今、その現状にどう向き合っていますか?

「結局、日々、自分の能力を向上させるしかないじゃないですか。自分の能力がないのに試合に出ても満足のいくプレーはできない。だから、試合に出ていても、出ていなくても、自分の実力、能力を上げる作業をやっていくしかないですよね。もちろん、フィールドプレーヤーにもポジション争いというのはあるけど、GKの場合はフィールドプレーヤーよりもスタメンが代わるタイミングは簡単じゃない。ただ、GKは代わるタイミングというのが自分自身で分かる。あとは、そのタイミングで自分の実力を示せるかどうか。今はそのときのために実力を向上させている最中というか、そこに向かって取り組んでいます」

——柏レイソルのトップチームには中村選手も含めて4人のGKがいる。先輩たちからアドバイスをもらうことは?

「アドバイスというよりは、僕が勝手に見て、勝手に解釈して、勝手に練習で試みるという感じですかね。言葉にすれば、いわゆる盗むということになるのかもしれません。先輩から特にアドバイスされるということはないんですよね。もしかしたら、フィールドプレーヤーの選手はあるのかもしれないですけど、自分は特にない(笑)。みんなはあるんですかね? ただ、言葉よりも行動。先輩たちの姿勢や行動はすごくよく見ていますよ」

——アカデミー時代のコーチに中村選手の話を聞いたところ、ONとOFFの切り替えがすごいという話を聞きました。

「試合の日は集中しているかもしれないですね。それが試合の日の自分の中のルーティーンでもあるんです。特に試合の日は話さないイメージがあるのかもしれません(笑)。たぶん、自分自身のことに集中したいんでしょうね。だから、試合当日は会場に入る前から口数が少なくなる(笑)。徐々に試合モードに入っていくという感じです。他にはそれほど試合日のルーティーンってないんです。強いて言えば、スパイクを履くのも、キーパーグローブを付けるのも、全部、左からっていうくらいで」

——話は少し脱線するけど、ユース時代から海外遠征も多いと思うけど、遠征にこれは絶対に持って行くみたいなアイテムはありますか? 逆にこれを忘れたら、ちょっと凹むみたいな必需品は?

「全部大事ですけどね。もう僕の場合は洗練されているので、全部大事。並びすらありますからね(笑)。スパイクでしょ、キーパーグローブでしょ、テーピングでしょ。化粧品などのセットに、下着、ハンガー、あとは面白いもので言えば洗濯ばさみですかね。これはキーパーグローブを部屋に干すときに使うんです。ハンガーもそのため。特に海外だと、ハンガーがクローゼットから取り外せないようになっていることが多いんです。だから、洗ったキーパーグローブを干すのにハンガーと洗濯ばさみは欠かせない(笑)。あっ、あとは」

——今、言った物の中にプライベートなものが一切出てこないですね(笑)

「あっ(笑)。それで言ったら本ですかね。海外遠征に行くときは、何日か前に本屋に行って、自分の気に入ったものを購入して持っていきます。ジャンルは特に問わないですね。小説も自己啓発系の本もそれこそサッカー以外のスポーツの本も読みますよ。好きな小説家は山田悠介さんですかね。でも、最近は読み尽くしてしまって……。ゲームもほとんどやらないですし、飛行機の中では映画も見たりしますけど、読書することが多いですかね」

——最後に柏レイソルのサポーターもAFC U-19選手権での活躍を期待していると思います。改めて意気込みをお願いします。

「結果ですよね。結果を出すことを期待されているだろうし、自分自身もそのことしか考えていないです。負ける気はしないですし、自信もある。帰ってきたときには、いい報告ができればと思います!」

(前編に戻る)

<プロフィール>
中村航輔●なかむら・こうすけ
1995年2月27日生まれ、東京都出身。柏レイソル所属。GK。背番号31。184cm/72kg。U-12、U-15、U-18と柏レイソルのアカデミーを経て、2013年にトップチームに昇格。各年代の日本代表に選出され、U-17日本代表時代は、FIFA U-17ワールドカップに出場し、ベスト8進出に貢献。10月9日より始まるAFC U-19選手権に臨むU-19日本代表にも選出された。Jリーグ公式戦出場はまだないが、将来の守護神として期待される逸材。9月23日のJ1第25節対鳥栖戦では初のベンチ入りを果たした。

<Information>
AFC U-19選手権 U-19日本代表グループリーグ日程
10月9日(木) 18:30KICKOFF vs中国
10月11日(土) 15:30KICKOFF vsベトナム
10月13日(月) 15:30KICKOFF vs韓国

柏レイソルの試合をスタジアムで見るなら!
http://www.reysol.co.jp/ticket/ticket_guide/

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