SOCCER PUSH UP! powerd by a-ticketSOCCER PUSH UP! powerd by a-ticket

【森﨑和幸 -サンフレッチェ広島-】後編「11人が1つの方向を向かなければチームとして機能しない」

2014.12.27

int_kazuyuki_2x ワールドカップによる中断が明けJ1が再開されると、サンフレッチェ広島は躓いた。チームは思うように勝ち星を重ねられず、J1連覇を達成した2012年、2013年と比べれば、自分たちの特徴の1つでもあった堅守すら崩壊しかかっていた。
 チームの全員が危機感を抱いていたであろうが、そこで動いたのが森﨑和幸だった。彼は自分ではないと謙遜するが、そこで彼が行動しなければ、チームが再び同じ方向を向き、まとまることはなかったかもしれない。チームの雰囲気、空気を敏感に感じることができるからこそ、危機を感じたときにはアクションを起こす。
 それはサンフレッチェ広島在籍15年間で、2度の降格、そして優勝と、酸いも甘いもすべてを経験してきたからに他ならない。
 どのチームにも避けられないことではあるが、今、サンフレッチェ広島も世代交代が叫ばれている。だが、試合全体を見ることができ、流れを読むことのできる選手はそういない。また、チーム全体を考え、自己を犠牲にしてチームのためにプレーし、行動できる選手もそう多くはない。
 彼が背負っている責任、見えている世界、そしてその思いを聞けば聞くほど、彼からポジションを奪うのは容易いではなさそうだ。

|在籍15年目で初めてだった選手だけのミーティング

——8月2日のJ1第18節、鹿島アントラーズ戦に1-5で大敗したことを受けて、チームとしてはもう一度、守備を見直そうということになった。チームとして立ち返る場所に戻ろうとしたんですよね。

「中途半端にやるよりも、結果的に鹿島に大敗して、みんなが危機感を持てる材料にはなったかもしれない。多分、この時期は、攻守両面でチームとしての意思統一がうまくできていなかったと思います。ボールの取りどころもはっきりしていなかったし、失点も局面だけを見れば、絡んだ選手に原因があるように見えるけど、その前にもミスをしていたり、また局面でもあり得ないような対応をしている場面もあった。チーム全体としていい守備ができていないから、後ろになればなるほど難しい対応を余儀なくされましたけど、全体的に淡泊な守備になっていましたね」

——そこで自分からも森保監督に相談して、ひとまずチームとして守備のスタートポジションに戻り、そこから守備をやり直そうという提案をした。

「サッカーは一人でやるスポーツじゃないですし、みんなそれぞれの思いがあるとはいえ、11人が1つの方向を向かなければチームとして機能しない。じゃあ、どうしたらその感覚をチームとして取り戻せるか。守備でいったら、基本に立ち返ることが一番わかりやすいと思って監督に相談したんです。うまくいっていないときって、守備も前から行くのか、それとも後ろでブロックを作るのか、判断が中途半端になってしまうんですよね。それによって全体が間延びする。結果、相手に間、間で受けられて、そのままフィニッシュまで持っていかれてしまう。だから、とにかく、うちが攻め込んで相手陣内でボールを奪われたとき、前の選手はそこからボールを奪いに行きたい気持ちでいるだろうけど、そこには目をつぶってもらって、とにかく、みんな自分たちの陣内に戻ろうという話になった。前の選手も戻ることで、自然とコンパクトにもなるし、その形から守備をリスタートすれば、それはうちの得意な形でもありますからね」

——まずは自分たちの特徴である守備を再び安定させることで、チームとしての自信を取り戻そうとした?

「そうですね。この時期、守備は確かに改善されたんですけど、今度はみんな守備のことばかりが頭にあって、チームとして前に行く推進力がなくなってしまった。ただ、個人的にはそれでも徹底的に守備を立て直したほうがいいという思いがあった。経験しているから分かるんです。僕は……ヘタをしたらJ2降格もあるかもしれないという思いが過ぎっていた。深刻に考えすぎていたのかもしれないけど、もうあの思いだけは絶対にしたくない、ああいう結果だけは招いてはいけない。そう思っていた。それに降格したシーズンって思い返すと、結局、守備が崩壊しているんです。当然、3連覇という思いはありましたよ。でも、下位との勝ち点差もそれほど離れているわけじゃなかったし、そのままなんとなく試合を重ねて下位との勝ち点差が縮まってきて、プレッシャーがかかってから修正しようと思っても、そのときにはきっとできなくなる。だったら、その前にって……」

——そこがチームとして転機になったのかもしれない。

「鹿島戦で大敗して、(森﨑)浩司とチームのサッカーについて話していたら、アオ(青山敏弘)やミズ(水本裕貴)も寄ってきて、自然とチームのことについて話したんですよね。それで、ここにいる選手だけで話していてもチームとして何か変わるわけじゃないという結論になって、アオから『別の日に選手だけでミーティングしませんか?』という提案があった。それで、僕としてもサポートはするから、ミーティングしようと答えて、別日に改めて選手だけでミーティングしたんです。サンフレッチェに在籍して15年目ですけど、はじめてのことでしたね。ピッチ上でというのはあったかもしれないけど、部屋に選手だけで集まって意見を言い合うというのは、それまでなかった。ベテランも中堅も若手も関係なく、一人ずつ今どう思っているのか意見を言い合ったんです」

——結果的に選手だけでミーティングをしたことで、チームとしてまとまることができた?

「そうですね。内容云々ではなく、そういうことを選手たちで企画して、集まってやれたことは本当によかったと思う。それまでは、実は何でも言い合える仲じゃなかったのかもしれない。そういうところが足りなかったのかもしれないとも思った。それにサンフレッチェには降格を経験している選手が何人かいる。言わないですけど、何かしら思いを抱えていたり、感じていた選手はいたと思う。そうした危機感を何人かが感じていたからこそ、ミーティングの機会を設けることができたんだと思います」

1|世代交代は自然と起こるもの。来シーズンは全試合出場を目指す。

——その危機感があったからこそ、8位でシーズンを終えることができたのかもしれない。ただ、連覇したこともあり、サンフレッチェ広島のサッカーは相手にかなり研究されてきている。ここから今のサッカーをどう進化させればいいと考えている?

「それが今後の課題ですよね。今のサッカーを突き詰めていくことも必要だとは思います。例えば連係を向上させれば、相手を崩せるという思いはあるし、そこにトライしたいという気持ちもある。でも、連係だけでは限界もある。なぜなら、連係で相手を崩すには、全員のコンディションが絶好調である必要があるから。それに変わる強みみたいなものも持たなければならないですよね」

——あとシーズン終盤には、若手選手が先発で起用されたこともあり、世代交代が取り沙汰されるようにもなっている。ベテランの一人としてはどういう心情でいる?

「クラブとしては世代交代というのは考えていかなければいけないところだとは思います。年齢が上の選手たちがずっとプレーできるわけではないですし、5年後、10年後を考えたら、今いるメンバーのうち、何人がプレーできているか分からない。自分自身もこのチームが、このクラブが好きですし、去年から言っていますが、若手に出てきてほしいという思いはある。そのためにできる限りのサポートもしたいとは思っている。ただ……自分の若手時代を振り返ってみても、そのときいるスタメンの選手、主力に対して、実力でというか、その選手以上にいいプレーをして、チームも結果を残すようでなければ、入れ替わることはできないと思うんですよね。まだ、その選手に肩も並べていない、抜ききってもいない状態で試合に出ても、決してチームとしてうまくいかないし、それこそ結果もでないと思う。こればっかりは実力の世界だと思います」

——やはりポジションは与えられるものではなく、奪うものだと。

「そうですね。軽い考えなのかもしれないですけど、世代交代って自然と起こるものだと思うんです。世代交代という言葉だけが先に来てしまって、僕らもそれを意識しすぎたところもあった。実力のある選手がピッチに立つ。年齢を重ねていけば衰えてもいくだろうし、自然と時がくれば……勝手にそれが起こるものだと思います。僕としても、チームのために自分のパフォーマンスをしっかりとピッチの上で出すことをまずは考えたい。あとは選手起用も含めて、監督が決めること。ベテランとか若手とか考えることなく、年齢もキャリアも関係なく、試合に出場するのにふさわしい選手がピッチに立てばいい」

——まだオフの期間ではあるけど、来シーズンに向けては?

「チームのことを言えば、ありきたりではありますけど、最低、1年に1つはタイトルを取ることが目標ですね。J1は来シーズンから2ステージ制になりますし、ナビスコカップ、天皇杯と狙えるタイトルがいくつもある。個人的にカップ戦の決勝は5回経験していて、うち4回出場していて準優勝。でも、5回もその舞台に行けたと考えれば、1年に1回はタイトルが取れるんじゃないかなとも思う。だから、最低でも1つはタイトルを取りたい。個人としては、JリーグのMVPを獲得した遠藤保仁選手も34歳で、リーグ戦全試合に出場しましたが、僕ももう一度、そこを目指していきたい。そのくらい試合に出られるってことはコンディションもそれだけいいってことですからね。あと、これは夢でもありますが、専用スタジアムができるまで、なんとかがんばりたいなって。選手として専用スタジアムのピッチに立ちたいですよね。そこは1つのモチベーションになっています」

(取材・文/原田大輔)

<プロフィール>
森﨑和幸●もりさき・かずゆき
1981年5月9生まれ、広島県出身。サンフレッチェ広島所属。MF。背番号8。177cm/75kg。サンフレッチェ広島ユースを経て2000年にトップチーム昇格。双子の兄弟である森﨑浩司とともにサンフレッチェ広島一筋で在籍15年目。戦術眼、状況判断に優れ、ピッチの指揮官として君臨する。守備的MFとして攻守のバランスを保ち、2014年のリーグ戦ではパス回数1位、インターセプト回数1位を誇る。

<Information>
サンフレッチェ広島2015シーズンパス情報はこちらから!
>>[サンフレッチェ広島チケット情報]

PAGE TOP
  • INDEX

NEW ENTRYNEW ENTRY

NEWSNEWS

PICK UP MATCHPICK UP MATCH

COLUMNCOLUMN

WORLD FOOTBALL COLUMNWORLD FOOTBALL COLUMN

INTERVIEWINTERVIEW

PREVIEW OF SPECIAL MATCHPREVIEW OF SPECIAL MATCH

【固定】twitter
【W杯予選】狙い通りの完璧な勝利で、日本代表が6大会連続W杯出場決める!
国内実績十分の“助っ人”たちの活躍が光るJリーグ[COLUMN]
【W杯予選】久保の活躍でタイに大勝も、露呈した課題
ストライカーの活躍はチームの成績と比例する[COLUMN]
【石川大徳】後編「ケガで苦しんでいる選手たちのサポートがしたい」
広島を支えた佐藤寿人と森﨑浩司が最後の試合で見せた姿勢[COLUMN]
広島・森崎浩司が現役引退を決意したきっかけと思い広島・森崎浩司が現役引退を決意したきっかけと思い
【関根貴大】仕掛け続けるサイドアタッカー。ボールに執着する姿は子犬のよう【PLAYER’S FILE vol.07】
【中町公祐】ピッチ内では泥臭く、ピッチ外では爽やかなボランチ【PLAYER’S FILE vol.06】
【伊東純也】抜群のスピードでピッチを駆け抜ける“IJ”【PLAYER’S FILE vol.05】
【江坂任】物腰の柔らかい紳士だがプレーは泥臭い「王子」【PLAYER’S FILE vol.04】

PICK UP MATCHPICK UP MATCH

RSS